<%@LANGUAGE="JAVASCRIPT" CODEPAGE="65001"%> 09見学会・合宿
SIG住まいづくり見学会・合宿の報告

見学会「日本の集合住宅の歴史とこれからの住まいのあり方を知る」

■日時: 2009年8月25日(火) 13:00~16:00
■会場: 東京都八王子市石川町2683-3
      UR都市機構(旧住都公団) 都市住宅技術研究所
UR都市機構(旧住都公団)の都市住宅技術研究所を見学しました。広大な敷地の中には16の建物が点在し、その中の6つが一般公開されています。我々は、本館で全体説明を受けたあと、居住性能館3階の「ユニバーサルデザイン実験室」と集合住宅歴史館の2か所を見学しました。SIG住まいづくり会員外からも、パナソニック電工デザイン部からお二人、東洋大学川内美彦先生とその学生さんが多数参加していただきました。 総合説明
   
ユニバーサルデザイン実験室では、コクピット型ユニバーサルキッチンと楽隠居インフィル「C」を重点的に見学しました。コクピット型ユニバーサルキッチンは、45度振ったレンジとシンクを中央のカウンターの左右に配置してあります。作業動線が短い、対面カウンターに手が届く、車いすでアクセスしやすい(回転ですむ)、複数での作業がしやすいといった特徴を持っているとのことです。平成15年に実際の河田町コンフォガーデンに導入され、実証実験が続けられています。楽隠居インフル「C」は住み手の状態の変化にあわせて、内装や設備(インフィル)を更新していこうという提案です。展示されているのは、要介護状態を想定し、寝室に隣接してベランダ側にサニタリーを作り込み、来客時には便器や浴室を覆い隠す工夫がされていました。窓や間仕切り壁など多くの部品も新たに開発されていました。これまでにも介護レベルを想定していない「A]と「B]が開発されているそうです。 コクピット型キッチン
ユニバーサルデザイン実験室がある居住性能館はランプやエレベータが設置され、車いす使用者用トイレも備えたバリアフリーな建物になっています。
写真をクリックするとアルバムが開きます
   
集合住宅歴史館は、わが国で初めて本格的なRC造の集合住宅として建てられた同潤会代官山アパート、昭和32年竣工の中層集合住宅・蓮根団地[2DK(55型)]、昭和33年竣工の高層集合住宅・晴海高層アパート、昭和33年竣工の低層集合住宅・多摩平団地/テラスハウスが建物の中に移築保存されています。 集合住宅歴史館
   
同潤会代官山アパート  
関東大震災(大正12年)の復興義捐金をもとに設立された公的な住宅供給団体である同潤会が建設した集合住宅で、台所付きの世帯住宅とワンルーム寝棚付きの独身住宅が復元されています。柱の柱頭や食堂カウンターの窓枠、壁面の彫刻などにレトロな味わいが見られ、文豪など文化人が住んでいたという説明にうなずけます。当時の家賃15円はサラリーマンの初任給の6割に当たるそうで、高所得者でないと住めなかったようです。 代官山アパート世帯住宅
中層集合住宅・蓮根団地2DK(55型)  
寝食分離、家事労働の能率化と空間の快適性、浴室とバルコニーの設置を目標に開発された2DKです。2DKの原型は吉武泰水氏や鈴木成文氏らが手がけた51C型で、復元住宅はその4年後の竣工です。ダイニングテーブルは造り付けになっており、半ば強制的に椅子座の食事を住み手に要求したようです。このDKの登場を境に、床座の生活様式から椅子座の生活様式へと急速に変化をしてきたわけで、下肢に障害のある人の暮らしにとっても大きな転換点だったと言えるでしょう。流し台は人造石研ぎ出し(人研ぎ)、浴槽は木製小判型、便座も木製、窓枠も木製でした。浴室に水道は配管されてませんでしたが、台所からバケツで運んでいたのでしょうか。 蓮根団地のDK
   
高層集合住宅・晴海高層アパート  
ル・コルビジェの下で学んだ前川國男氏の設計によるもので、3層6戸単位を巨大な構造体で架構する大胆な設計です。スケルトン&インフィルの考え方で、3層6住居分に可変性をもたせてあります。エレベータ停止階も3層おきで、非廊下階住戸と廊下階住戸が復元公開されています。地上から2階には螺旋階段が2戸単位で設けられており、アクセスを容易にしています。この螺旋階段室はブロック積みですが、使われているブロックは湾曲していてきれいな円筒形をしています。廊下階住戸の廊下の幅は相当広く確保されており、玄関戸には引き戸が採用されています。高層住宅であるため、この廊下を子供の遊び場や住民の交流の場にしていたのでしょう。昭和33年竣工のこの住宅にはステンレストップのキッチンが採用されており、キッチンユニットの変遷も見ることができました。

高層アパートの構造模型
   
低層集合住宅・多摩平団地/テラスハウス  
分譲住宅として供給されており、現存している住宅もあるようです。多摩平団地は3Kのブロック造2階建てで、台所には床下収納が設けられており、冷蔵庫と洗濯機も当時のものが展示されています。換気扇はなく、15cm角の取り付け枠だけが用意されていたそうです。2階に2部屋、1階に1室と台所、浴室、便所、玄関という構成です。電灯のスイッチはプルスイッチ、玄関チャイムは乾電池式です。 テラスハウス外観
住宅設備の変遷  
電気設備や給排水設備、ドアなどの変遷も展示されています。昭和30年代の住宅には、ヒューズをおさめたカットアウトスイッチが2~3連あるだけで、家庭電化製品普及前の状態がうかがえます。新しいところでは、浴室や便所のさや管ヘッダー式配管の様子がカットモデルで展示されています。床下を通る配管の様子は水回りに段差ができる理由も観察できます。 床下配管の様子
   
見学修了後、会議室をお借りして感想を語りあいました。おじさんたちは集合住宅歴史観を懐かしく見て来ましたが、東洋大学川内先生の若い学生さんたちも多くの刺激を受けたようでした。お勧めの見学スポットです。  

合宿「住まいづくり四方山話」

■日時: 2009年8月25日(火) 17:00 ~ 26日(水)9:00
■会場: 東京都八王子市下柚木1987-1   八王子セミナーハウス
■内容: 
八王子セミナーハウスはル・コルビジェに師事した吉阪隆正が設計したもので、その造形には圧倒されます。自然の中のユニークな建物に宿泊できます。当初は国際間と祈念館に分かれて宿泊することになっていましたが、最新のさくら館に変更してもらい快適な夜(?)を過ごすことができました。合宿のみに参加してくれたOTで建築を学んでいる健和会補助器具センターの太田さんがおじさんたちの輪に入ってくれました。語り合った内容は夜明けとともに森のなかに・・・。写真をクリックするとアルバムが開きます。

逆ピラミッド   屋根の取り合いがすごい
本館   図書館セミナー室
上から見ると竜   木立の中の宿舎
松下館   国際館・記念館ほか

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