<%@LANGUAGE="JAVASCRIPT" CODEPAGE="65001"%> 08トイレシンポジウム
SIG住まいづくりシンポジウム

「毎日使うトイレをとことん考えてみよう!」報告

■日時: 2008年8月30日(土) 10:30~17:00
■会場: 新潟市中央区島6-1 朱鷺メッセ:
      新潟コンベンションセンター3階  中会議室
■主催: SIG住まいづくり
■後援: 日本福祉のまちづくり学会

■内容:

トイレコンテスト報告&なんちゃってバリアフリーコンテスト報告

午前は、これまでSIG住まいづくりが行ってきたコンテストの報告を、糟谷事務局長が行いました。
2006年の「おもしろ!ふしぎ?私が見つけた!こんなトイレ・コンテスト」、2007年の「GOOD↑BAD↓おもしろ!不思議?トイレ・コンテスト」の応募作品と入賞作品を紹介しました。(こちらはHPで見ることができます)
そして今年2008年に実施した「なんちゃってバリアフリーコンテスト」については、事前にHPで投票を呼び掛けたものと、前日まで行われていたリハ工学カンファレンスの会場での投票結果を合わせて、発表させてもらいました。(こちらもHPで見ることができます。優秀賞の方には賞品を送付します)
最後に見せた、体勢保持用の胸当てバーをつけたためにかえって小便器に寄れないようになっている手すりの写真を題材に、基調講演の演者である川内さんから、問題提起があり、使用当事者から利用方法について、研究者やトイレメーカーからは、取り付け寸法や製品についての説明があり、活発な議論となりました。

コンテスト報告中

フロアー

   
基調講演 トイレあれやこれや  

午後からは、東洋大学ライフデザイン学部教授の川内美彦さんから「トイレ、あれやこれや」というタイトルでお話しいただきました。多機能トイレの変遷について、車いす使用者を対象として作ってきた経緯がありますが、最近では多くの機能を取り入れたトイレとなってきたために、オストメイト、ベビーカーを使用する親など利用対象者が増えてきました。そのために、常に誰かが使用している状態となり、これまで待たなくても使用できた車いす使用者からは不満の声も上がってきています。
そこで、川内さんは平成9年に発行された「ハートビルマニュアル・トイレ編」の中で、簡易型多機能便房の設置を提案されました。残念ながらこのマニュアルは一般には販売されていません。中部国際空港では詳細な検証が行われ、全ての一般便房に1200×1900(mm)という従来の便房より少し広いトイレが採用されたそうです。これによって、自操用車いすを使用する人は、多機能トイレではなく簡易型多機能便房を使用することができるようになりました。便房にベビーキーパーのあるものや、手すりのあるものなど、機能を分散することによって、利用対象者を分散し、集中を防ぐことができるのです。川内さんは子供を連れた親のトイレ内での行動についても詳しい情報を持っておられ、今後子供連れはキーワードであると感じました。
今後まだ改良の余地のある簡易型多機能トイレではありますが、これが普及することによってよりよいトイレ環境が提供されることと思いました。
多機能トイレという名称について、トイレで行う目的はただ1つ『排泄』なのだからとかつて言われて納得して以来、多目的ではなく多機能と言うようにしていると仰ってました。

基調講演

客席

   
報告 プライベートトイレ  

続いての事例報告では、まず佐賀大学大学院准教授の松尾清美さんから、プライベートトイレについてご報告いただきました。多様な障害レベルの人がどのようにして便器に近づき、乗り移っているのかを動画を交えながらわかりやすく解説していただきました。便器へのアプローチの方法で必要なスペースやレイアウトが変わること、住宅改造の規模も変わることがわかりました。また、高位頸髄損傷者などが行っている自己導尿についても、使用する器具や使用するときの姿勢など、リハビリテーション工学分野の情報が伝達され、参加者にとって初めて知る情報が多かったと思いました。

プライベートトイレ
   
報告 パブリックトイレ  
事例報告の第2弾では、TOTO株式会社の真島香さんから、パブリックトイレについてご報告いただきました。現在、商業施設のトイレに求められている視点を、ユニバーサルデザインと環境への配慮の二面から解説し、TOTOの01シリーズというスタイリッシュな多機能トイレの新製品情報と、今後の課題についてお話されました。
ユニバーサルデザインとしては、荷物への配慮と女性のお化粧への配慮、親子連れ・子供への配慮、そして高齢者・障害者への配慮について調査データに基づいて報告いただきました。障害者への配慮については、動作検証のビデオを使いながら説明され、昨年策定された操作系の配置のJISについて解説いだきました。
パブリックトイレ
   
パネルディスカッション  
パネルディスカッションでは、基調講演の川内さん、事例報告の松尾さん、真島さんに加えて、TOTO株式会社UD研究所初代所長として、様々な商品開発、検証実験にかかわってこられた竜口隆三さん(現在は西日本工業大学デザイン学部教授)に加わっていただき、SIG住まいづくりの相良代表のコーディネートで進められました。 竜口氏

多機能トイレにオストメイト対応のシンクがあるが、内部障害は見かけ上わからない障害なので、使って出てくると待っている人に文句を言われるというトラブルになることが多いという話があがりました。オストメイト専用の便房を設ければ小さな空間で済むのではないかという意見に対し、オストメイトであることを公言している人と隠したい人があるので、それだけでは解決できないのだという意見がありました。
操作機器(流すボタン、非常用ボタン、紙巻き器)のJIS化にご尽力された竜口さんから、その経緯、苦労などについてお話しいただきました。盲の人がパブリックトイレを使用するときに、「流すボタンの位置を把握しないと使用できないため、わかりにくいところでは床を這って足で踏むボタンを探すのだ」という話を聞かれ、今まで対応してこなかったことに対する反省から、同業他社、国、工業会などすべてを巻き込んで検討し、ようやく昨年2007年にJIS化されたということでした。新たな機器を作るのでは時間がかかってしまうため、配置をルール化することで、すぐにでも対応できるシステムです。
会場からもたくさんの質問が出て、トイレに関する関心の高さが感じられました。毎日必ず使うものとして必要であるものであり、特に女性には機能だけでなく快適性が求められるという、難しい空間ではありますが、それだけに多くの関心が寄せられるのだと思いました。

パネラー

パネルディスカッション

   

終了後のアンケートでは、とても勉強になった、もっと多くの人に聞かせたい、トイレの次は浴室についてとことん話したい、グループワークのような参加型も期待したいなど多くのご意見をいただきました。
皆さまのご意見を反映させていただきながら、トイレの問題、そのほかの空間の問題についてもとことん話し合う機会を作っていきたいと考えております。
今後ともお付き合いくださいますよう、よろしくお願いいたします。

質問

 

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